前髪が死ぬと私の心は死ぬ
メイクはしなくても、前髪だけはセットする。
世界で一番嫌いなのは前髪を崩す風。
地下鉄のホームで、曲がり角で、
あらゆる場面で私の前髪は危機に晒される。
念入りにセットしても一吹きの微風で容易く崩れてしまうか弱い子。
かわいい。
頑張れ前髪、負けるな前髪!
どんなに鼓舞しようが前髪相手には無意味である。
私が守ってあげなければ…
毎日前髪専属パトロンである。
前髪をこんなに気にするようになったのはいつからだろう。
高校に入ったあたりに姉からヘアアイロンを貰った。
アイドルの前髪にしか目がいかなかった。
渡辺麻友の絶対に崩れない前髪は”アイドルサイボーグ”の異名を加速させた。
前髪に無防備さを許した瞬間アイドルじゃなくなるのだろうか?
いくらアイドルが好きでもアイドルにはなれなかった。
でも前髪だけはアイドルと同じになれた。
前髪から解放された日からきっと私は大人になるのだろう。
ボランティア
被災地でボランティアした時
地元のおっちゃんに「日本の未来は明るいなあ!」と言われた
私は微妙な笑みを浮かべることしかできなかった
他の参加者はみんな就活のネタ作りのためだったから
ネタ作りしなければ仕事に就けない日本の未来は明るいのか?
私はなぜボランティアをしようと思ったのか?
本当に、心から、善意を持って行動していたか?
ボランティアって結局は自慰みたいなもんだ
かわいいは消費される
アイドルの消費期限はいつまで?
30歳までに辞めなきゃいけないの?
三十路で結婚できなきゃ売れ残り?
2次元では生きられない私たちは毎年歳をとり
若い子に、そしてまた若い子に目を向ける日本の社会
こんなのインスタにあげるために産まれたスイーツみたいなもの
私たちはインスタにあげる写真じゃないのにな
食
AIの発達とともになくなる仕事というものがあるらしい
その中で外食産業は生き残るのだ、と聞いた
300円で満足な食事ができる時代
1000円のランチを食べる女子大生
500円以内に収めようと吟味するサラリーマン
職を得てから食を失う
三大欲求、あなたはどれに1番比重を置きますか
秋
どの季節が好きか。
四季のはっきりした日本ではおなじみの質問だ。
私は迷いなく秋と答える。
自分の誕生したのが秋だから。
気候的に過ごしやすいから。
読書の秋、食欲の秋。
みんなどこか寂しそうな季節。
春は新生活、夏は夏休み、冬はクリスマスにお正月、対して秋はそこまで重大なイベントはない、比較的落ち着いた季節。
四季を人生に例えると秋は死に向かう季節だ。
自分の誕生日が1番好き。
「い、い、い、ち、ご」
なんて、かわいいんだろう。